「Wring that Neck」

DVDで観た映画の感想

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感染列島

 隔離指定病院の勤務医である主人公の異常に軽いフットワークを始め、登場人物達の突飛で理解不能な行動の数々に辟易するディザスター映画。この手の映画の肝はリアリティに尽きるわけで、脚本レベルでかなり奇妙な設定が為された上に、役者の顔を露出すること最優先の演出の賜物で画面から緊張感がごっそり抜け落ちています。豚インフル流行直前という絶妙のタイミングでの封切りですから、シミュレートがしっかりしてさえいれば迫真のヒューマンドラマとしてブレイク出来たはずなのに。
 とはいえ、現場のマンパワーに頼らざるを得ない日本の医療体制を浮き彫りにするなど考えさせる部分も多くあります。縄張り意識や思い込みからの硬直的対応やらマスコミと世論のヒステリーやらと撚り合わさって初動からほぼ無政府状態という描写も日本の現状をつきつけるものです。現実にならない事を願うばかりの新型感染症パンデミックという題材だけに色々惜しい作品なのでした。

 一刻を争う現場の医師に感染源の特定云々やってる暇はないし、ワクチン開発を待てる状況でもないのは自明なわけですから、さっさと「ワクチン完成は半年後」と規定して病院の修羅場だけでドラマ構築した方がスッキリしたと思います。無理に外に出して探偵ごっこさせればマスクや防護服を着けない不自然シーンが自ずと増えるわけですし。ぶっちゃけ海外ロケから妻夫木聡を外せないって所から無理矢理な脚本に至ってるんでしょうけど。だからってゾンビ映画風は無いと思いますが。
 あと、脚本で特に酷いのは感染ルートの顛末。国外を含む広範囲を媒体が移動しており「日本限定で大流行」「最初の患者の周辺に感染原因がある」という基本条件が満たせてないです。クライマックスの泣かせも脳みそに蛆沸いてて、蘇生中の患者を放置してのTV電話も酷いし、檀れいが身体を張って一か八かの治療に臨んでるのに妻夫木がそのデータを待たずに見切り発車というのも凄い展開です。
 演出面で一番疑問なのは、鳥インフルエンザと絡めてミスリードを狙ってる筈なのに、素人目に見ても真っ先に出血熱を疑うべきな描写を行ってること。風邪症状が出ないでいきなりぶっ倒れる人が多いのも変ですし。結構重要なキャラなのにカメオ出演と見紛う浮きっぷりだった爆笑問題田中への緊張感のない演出も謎。カンニング竹山の「俺は無名のウイルス研究者だ!」に代表される超絶説明台詞の数々も笑えます。

 それでも、ウィルス災害の問題を提起し、野戦病院と化した救命救急機関の滅茶苦茶な状況を疑似体験させ、トリアージ(患者の選別)の決断など過酷な環境の中でひたむきに尽くす命懸けの医療関係者に敬意を払ってる事は評価出来ます。ベタだけど子役を使った一連の泣かせもちょっと感動。「たとえ地球が明日滅びるとも、君は今日リンゴの木の種子を植える」という引用(リルケだったっけ?)を落とし所に使ったのも巧いと思いました。

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(2009/07/24)
妻夫木聡檀れい

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