「Wring that Neck」

DVDで観た映画の感想

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ディア・ドクター

 作品・脚本部門で数々の映画賞をさらった話題作ですが噂に違わぬ傑作でした。僻地医療・終末医療・老人の孤独・コミュニケーション不全など実に奥が深く考えさせられるテーマを盛り込みながら、お堅く感じさせないようにユーモアが散りばめられ、関心を途切れさせないドラマもあり、バランスが物凄く良いです。『ゆれる』でも思った事ですが、西川美和監督の洞察力とシナリオ構成力は只者じゃないですね。

 過疎地で慕われる医師と研修に赴任した若者という構図から現代版『赤ひげ』を想像してたんですが、感動のヒューマニズムにはほど遠く、むしろアンチテーゼ的な作品でした。これだけ人間の内面をえぐり出す内容を滑稽で穏やかで分かり易い娯楽作品にしてしまうのが凄いです。しかも、安易な泣かせや人情噺や断罪路線に奔らずに。
 伏線の巧さにも舌を巻きます。終盤で八千草薫が刑事に云う台詞が腑に落ちなかったんですが、序盤にある「先生、何にもしないでください。」に気付いて感嘆。二度見すると確信犯のキャラがさりげなく嫌味を吐いたりしてて面白いです。ラス前の刑事とのニアミスで笑福亭鶴瓶が煙草をふかす事で善に寄りすぎた鶴瓶の印象をグレーに戻し、意外なオチで更に視聴者を揺さぶる流れも凄い。失踪前後の二つの時間軸の混ぜ方も絶妙です。

 善悪と別の所でその人の望むようにしてあげてしまうキャラが鶴瓶師匠に異様にマッチしている他、瑛太・余貴美子・八千草薫・井川遥といった面々がそれぞれの持ち味をいかんなく発揮しドンピシャの演技を披露。とりわけ印象的だったのが香川照之で、便利に使われるコミカルなポジションかと思えば小狡く立ち回ったりシリアスに核心を突いたり見せ場が多いです。難しい役柄で狂言回しをこなしてる松重豊にも痺れました。この二人の共演シーンの事情聴取で不意に香川が倒れるシーンは演出的にも唸らされましたが。

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(2010/01/08)
笑福亭鶴瓶瑛太

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