「Wring that Neck」

DVDで観た映画の感想

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空気人形

 持ってはいけない「心」を持ってしまったダッチワイフが街へ繰り出し、どこか空っぽな人たちと織り成すシュールなファンタジー。原作はわずか20頁の漫画だそうで、殆ど是枝裕和監督のオリジナル脚本レベルに膨らんでいるものと推測されますが、現代社会の抱える病理を生々しく捉えた途方もなく寂しくて奥が深い物語が美しく紡がれております。あまり好みの作品ではないんですが傑作なのは否定できません。

 人形から人間への成長プロセスを演じる実力が要求され、設定上汚れ役必然かつヌード&濡れ場必至で、勿論若くて無垢で透明感なきゃ務まらない大役に白羽の矢が立ったのは韓国女優ペ・ドゥナ。正直、アラサーの外国人起用には疑問符だったのですが、幼く見えるルックスに抜群の表現力、加えて驚愕のナイスバデーと訥々とした片言の日本語が見事に嵌るクリティカルなキャスティングでありました。演出力に定評のある監督との相乗効果がいかんなく発揮されております。「CGじゃないの、コレ?この娘、本当にビニールで出来てるんじゃない?」と思うほど手足の動きとかが衝撃的でした。空気が抜けたり膨らんだりする時の喪心と恍惚の表情も凄いし、ダッチワイフとして使われてる時の無表情も迫真。なんというか肉体を感じさせない演技でした。節操ないほどにヌードシーン三昧なのにエロイというよりキレイ。特に自分でエアポンプを操作する横座りの裸身で見せたバランスの良い姿態が印象的でした。それにしても、ここまで脱ぎっぷりのいい女優だったとは。

 そんなわけでペ・ドゥナはばっちりなんですが、周りの都市生活者たちに共感を得られるようなリアリズムが欠けてる印象で、キャラ多すぎが災いしとっ散らかってもいて不満。空虚がテーマらしいので浮遊感が大事だったんだろうけど、群像劇としては微妙です。空気人形の恋のお相手としてちゃんと見せ場があるARATA以外では、人形の所有者である板尾創路が変態チックにならないように孤独な人形愛を上手く表現していて「もっとこの男のドラマが観たい」という出来だったものの、父と娘・アラフォー女・自首マニア・警官などと人形の繋がりは曖昧に描かれ、特に過食症のOLが掘り下げ不足なのは物足りなく感じました。
 シニカルでブラックでルールがきちっとしてるモノを好む性分なんで、本作で構築されるイノセントでメランコリックな箱庭が単純に癇に障るってのもありますが、好んで他者を拒絶して生きる人々に「空虚感を埋める」という命題がナンセンスに思えてどうにも入り込めなかったです。

空気人形 [DVD]空気人形 [DVD]
(2010/03/26)
ぺ・ドゥナ、ARATA 他

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