「Wring that Neck」

DVDで観た映画の感想

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トニー滝谷

 原作は村上春樹の短編集「レキシントンの幽霊」に所収された30頁程度の短編で、執筆が90年頃です。村上作品は、あの独特の空気や透明感を表現するのが難しいって事と、読み易い文体と裏腹にストーリーが難解な事が原因で、過去数回の映像化の試みは成功とは言い難い評価に留まってきました。しかし、この作品は原作のもつ世界観をかなりの精度で再現していると思います。それ故に村上ファン以外の人にはわけわからん内容の映画だとも言えますが。

 脚本は驚くほど原作に忠実。全篇に渡り西島秀俊の朗読が淡々と続き、役者は空白の多いセットで極端に少ない台詞だけで一人芝居を演じるという、舞台と言うか紙芝居風に撮る事で春樹ワールド化してるんですが、リアルに撮らないと言う決断が功を奏して実にいい雰囲気です。これには音楽の坂本龍一も多大に貢献してますね。
 そして、こういう演出意図なら主演がイッセー尾形なのは納得です。一人芝居のキャリアもそうですがなにより「孤独」が似合います。そして二役を絶妙に演じた宮沢りえも見事で、数々のファッションを着こなす必要があるこの作品は彼女なしには成り立たなかったんじゃないかと。
 時々、朗読に被さる様に急に役者が「・・・と、彼は言った。」なんて台詞を吐くんですが、慣れるとCMみたいなソリッドなテイストで面白かったです。

 ただ、徹底的に原作まんまで来たのにラストでちょっとだけ付け足ししちゃったのは疑問。限りなく蛇足っぽかったです。むしろ村上春樹ファンへのサービスで、トニー滝谷の庭を猫が通るとか、向かいの庭のデッキチェアの女の子やら鳥の石像やら、ギイイイッと鳴く鳥の声とか入れとけば良かったのに。最近の版の「ねじまき鳥クロニクル」にはトニー滝谷に関する会話のシーンはカットされちゃってるって噂だけども。

トニー滝谷 プレミアム・エディション トニー滝谷 プレミアム・エディション
イッセー尾形 (2005/09/22)
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