「Wring that Neck」

DVDで観た映画の感想

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ゴールデンスランバー

 約10年の活動で既にこれが映画化7作目となる超ベストセラー作家・伊坂幸太郎。その現時点での集大成と評されているのが本作で、DVD観賞を前に先ず読んだ原作小説は噂通りに面白かったです。同時に「これを映画にするのは厳しいなぁ。」とも。
結論から言えば、なんとか原作の持ち味を壊さないで映像化に成功してるしエンターテインメントとしては十分に楽しめます。シリアスなサスペンス・ミステリーとしてでなくファンタジックで薄甘い青春劇として。けれど、想像通りに作品構造ゆえの弱点は克服できておらず、細かい部分は原作を読んで補完して下さい状態なのも否めません。

 文庫版の巻末解説に書いてあるんですが、著者は「物語の風呂敷は広げるけど敢えて畳まず、それでも畳んでるように見せかける」というのを狙ってるし、「敬遠していたハリウッド映画的な物語の定型に沿ったものをやってみた」ともいってます。つまり、一歩間違えば荒唐無稽でご都合主義な物語に変貌するものを文筆テクニックを駆使して成立させているのです。140分という長尺であろうと映像でそんなデリケートな扱いをする余地はないわけで、何を取捨選択するかがポイントになります。そして、『アヒルと鴨のコインロッカー』の時にも思ったのですが、中村義洋という監督はこの取捨選択が抜群に巧いのです。
 軽妙でユーモラスなセリフを吐く浮世離れしたキャラクター達は残し、リアリズムより伊坂ワールドの維持を優先。展開上どうでもいいような細部描写を削るのは当然として、自らハリウッド映画的というだけあって結構盛られてる派手なアクションや緊迫のサスペンスもバッサリとカット。ヒロインのパートや学生時代の回想も極力減らしスピード感を増しています。ただ、伏線回収が売りの作品とはいえ、たいして時間を割けなかったネタまで律儀に拾うのはいかがなものか。
 反面、いじらなくても良い所を変えて失敗するのもこの監督の習性なのでしょうか。クライマックスにおける幾つかの微妙な変更はどう考えても不必要だし、よりによってあんな古いカローラ持ち出さなくてもいい筈だし、学生時代とは違ってしまった主人公たちと末期ビートルズをかけ「ゴールデンスランバー」をiPodで繋ぐアイデアは良かったけど最後の使い古されたオチで台無しだし。

 キャスティングは脇が無駄に豪華で驚かされるんですが、とりわけ原作イメージに嵌っていたのが濱田岳でした。セキュリティポッドの設定が消えたせいで、ただの便利なお助けマンになっちゃったのは残念ですが、キュートで危うい怪人物を演じてくれました。無言の大男に扮した永島敏行もすっかり貫禄がついて濱田岳と好対照。その的確な熱演が物凄い異物感を発揮し世界観の破壊者として顰蹙を買うばかりなのが可哀想です。原作ではスパイスの役割を担ってる重要なキャラだったのに。
 一方、個人的には貫地谷しほりのアイドルと相武紗季のラジコン女の役が逆に思えました。

ゴールデンスランバー [DVD]ゴールデンスランバー [DVD]
(2010/08/06)
堺雅人、竹内結子 他

商品詳細を見る
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://mappil.blog65.fc2.com/tb.php/446-8169bdc5
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。