「Wring that Neck」

DVDで観た映画の感想

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インセプション

 国内興収30億円超と大ヒットした上に「ベスト・オブ・ベスト アワード2010」で堂々2位に食い込むなど、どうやらマジで一般ウケしてるらしい事に驚かされた本作。難解な設定に賛否両論必至の夢ネタで普通の映画よりハードルが高い上に、クリストファー・ノーラン監督の趣味丸出しのフィルム・ノワールなのに。『ダークナイト』がヒットしなかった国で絶賛の嵐を目の当たりにすると、「皆さん、何者かにインセプションされちゃったんじゃないですか?」と問いかけたくなります。個人的には睡魔と闘うのに苦労したし。

 「夢の共有におけるメリットとリスク」「夢の階層化と移動のルール」「体感時間の変化と上位層の干渉」あたりは最初の1時間をチュートリアルに費やしてくれるおかげで普通に理解できるし発想自体も魅力的。雰囲気もスタンリー・キューブリックを彷彿させ凄く興味深かったですし、散りばめられた古典映画ネタも趣あり。パリのシーンや無重力アクションなど特殊映像は総じて面白かったし、シニカルで緻密な世界観をきちんと構成し独特の閉塞感を映像化した監督の手腕も素晴らしいです。これで主旋律が他人の夢を荒らしまくる産業スパイチームの大活劇であったなら凄く楽しめたと思うのですが、話はセンチメンタルな主人公のトラウマ克服という地味で意外性の無い方向に注力され・・・。

 吹き替え版の情報量ならもっと嵌る要素が発見されるかと期待してDVDで再観賞してみたわけですが際だった収穫は無し。むしろ、上辺は小難しそうだけど実は捻りも無い一本道のストーリーという印象が強まってしまいました。異なる世界の出来事が3つも4つも同時進行する点はグレートだけど、本質的に脚本の出来はあまり良くないと思いますよ。
 特に「夢の中で死んだら目が覚める」というルールを徹底せず、「今回は脱出不能の最下層に落ちちゃう」なんて後付けし、挙げ句に「脱出は可能、経験済」となる流れは酷すぎます。いつ死んでもOKじゃアクションに緊迫感なんて生まれません。大体、常套の緊急脱出法が使用不可なら作戦開始前にメンバーに周知徹底しとかなきゃ拙いですよ。「ミッションを破壊する女の登場は主人公が原因」ってのが冒頭のミッションで明示されてるのに無策で突撃というのも腑に落ちず、設計士の迷路設計能力を全然活かせてないのも気になりました。
 一番の問題は主人公のディカプリオが全能すぎる事でしょうね。奴は最も夢世界の構造に精通してるし、イドの怪物たる女房の問題もきちんと把握してるわけで、結局エレン・ペイジも渡辺謙も関係なく一人で全てに決着を付けちゃうわけですよ。意味ありげなラスト・シーンだって主人公が全てを掌握し望んで其処にいるのは明らかなんで、其処が夢か現実かで物議を醸してもあまり意味がないのであります。我々の暮らすこの世界の現実性を問うても仕方ないように。

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(2010/12/07)
レオナルド・ディカプリオ、渡辺謙 他

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