「Wring that Neck」

DVDで観た映画の感想

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亡国のイージス

 原作既読の立場で言いますと凄くストレスの溜まる映画でした。プロットは面白そうにみせながら中途半端な描写でスケールを矮小化しています。原作の長さからいって大幅に切り詰める必要があるのは解るんですが、「何を残して、どうやって繋ぐか」という判断が常人と違う感覚なのですよ。見せ場が悉くカットされる一方で謎の水中キスとかは残ったりしてるわけで、これが予算の都合とか自衛隊同士の殺し合いがマズイからとかじゃ説明がつかない纏め方なのです。まるで原作小説の予告編の様で、各所に「原作を読めば明確になるよ。」というメッセージが潜んでいるようでイラつきます。

 最大の問題は人物描写を端折りすぎてることです。原作未読だと主要キャラの行動原理が不明瞭どころか誤解されても仕方が無いレベルで説明不足。信念の為に悲壮な決断をした筈の叛乱側の動機がまるで伝わらないし、反攻に転じる主役コンビも場当たりで抵抗しているようにしか見えません。吉田栄作の役とか何のために出てるのか解らないし、女工作員とか意味不明すぎる。それで官邸周辺の事なかれ描写だけは妙に丁寧なんですよね。

 折角本物のイージス艦を借りたのに殆んど活かせて無い艦上戦闘といい、クライマックスに向けてちんたらと進む流れの悪さといい、この監督にアクション映画のセンスはありません。アクションの肝心なところをスローモーションにするのも戴けませんね。極めつけはラスト付近でそれまでのテンションをぶち壊しにする爆笑演出で、これで原作への思い入れのない雇われ監督と確信するのでした。
 それでも見応えがあるのは日本アカデミー常連を揃えた豪華な男優陣がいい台詞を吐いてることと、本物の船内や航行シーンがリアリティを与えているおかげでしょうか。断片的な人間ドラマのシーンはよく描けてるのですよ。アクション重視だと『ザ・ロック』や『ダイハード』に似るのは目に見えてたんで、問題提起ドラマに注力する手もあったんじゃないかと思うのですが、どっちつかずになっちゃったのが残念です。

 これで2005年に吹き荒れた原作・福井晴敏の軍事映画を三作とも観たことになりますが、いずれも丙丁つけがたいです。どれも見た目はそこそこだけど脚本・演出がイマイチで、テーマを深追いしないし虐殺描写は避けるしで無難な作り。どの話もリセットしようとする者とそれを阻止しようとするものの対決で、この手の話は敵味方容赦なく皆殺しのシビアな展開から突如として夢と希望を若者に託す力技で収束させるのがロマンチックなのに。・・・それじゃ富野由悠季だけども。

亡国のイージス 亡国のイージス
真田広之 (2005/12/22)
ジェネオン エンタテインメント

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原作者:富野由悠季の参加作品(機動戦士ガンダム TVシリーズ)

機動戦士ガンダム(TVシリーズ 1979年)原作・総監督・脚本・演出・絵コンテ 井荻麟名義で『翔べ!ガンダム』(オープニング)、『永遠にアムロ』(エンディング)、『シャアが来る!!』『いまはおやすみ』(挿入歌)、『きらめきのララァ』(挿入歌・本編未使用)作詞 富野の

  • 2006/11/04(土) 20:51:06 |
  • ガンダム シード デスティニー(gundam seed destiny)なブログ

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