「Wring that Neck」

DVDで観た映画の感想

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ミュンヘン

 日本勢では男子体操や男女バレーが活躍した72年のミュンヘン五輪で起きた、パレスチナ・ゲリラ「黒い九月」によるイスラエル選手団11人殺害事件の報復の為にパレスチナ人11人を狙うモサド暗殺チームのお話。ただし、あくまでインスパイアでありノンフィクションではありません。勿論エンタメ路線でもありません。『シンドラーのリスト』とテーマは似通ってますが、向こうは人助けの話でこっちは人殺しの話、我々に与えられるのは感動ではなくずっしり重い苦悩なので映画ぐらいハッピーでありたい人はパスしてください。

 ユダヤの同胞から裏切り者呼ばわりされ、パレスチナ側からはイスラエル寄りと批判されるスピルバーグ渾身の問題作は、面白いことにパレスチナ問題から遠い位置に居る日本でも右と左が真逆の視点で猛反発のご様子。たぶんスピルバーグの目論見どおりの反響で、みんな痛いところを突かれたってこと。この圧倒的な嫌悪感は凄いですよ。
 でも小難しい政治的なテーマを扱ってる3時間弱の長い映画でありながら、見事なサスペンス演出で退屈させない演出力に感服です。ヒッチコックやスパイ大作戦のようなエッセンスに70年代の退色フィルムの雰囲気を再現してみせ、しかし痛快娯楽アクションじゃなくハード・バイオレンスという不思議なテイストなのです。

 暗殺チームはエキスパート揃いのように見えて実は素人集団、みんな諜報部員のつもりでいたら殺し屋に任命されちゃったみたいな普通の人達で、任務は毎回不手際だらけでコミカルなんだけど、人が死ぬシーンは物凄くリアルというダークサイド・スピルバーグ・ワールド。包帯だらけ・埃まみれのオチが似合うコント展開から一気に具合が悪くなるほど血生ぐさいシーンに飛び込んでいきます。悪質。
 殺し屋チームが善人揃いならターゲットも善良に見える普通の市井の人々という中で、さも当然のように狂った理論を振りかざしチームを理不尽な状況に陥らせる上官が最高でした。あとは、やっぱりオランダ女が儲け役。

 この映画の主張は「報復の連鎖では何も事態を解決しません。さて皆さん、どうすればいいと思いますか?」なんて問題提起ではない気がします。パレスチナとイスラエルの闘いというのは比喩にすぎず、この映画の真の批判対象はどっかの大統領とその後ろにいる能天気で絶対正義な皆さんなわけで、そんな中立的な立ち位置にスピルバーグが居るとは思えません。劇中で主人公とパレスチナ青年の主張は平行線を辿りパレスチナ問題は簡単に解決できないことは示されてます。人の数だけ正義があり時には暴力に暴力で応じることも否定しないけど、破っちゃいけないルールはあるし明後日の方向に飛び火させるのは言語道断ってことじゃないかと。星がいっぱいな国の最近の介入はとにかく大雑把で、映画のヒットマン・チーム以下の素人集団が余計な被害を増やすわりに結果が伴ってないわけですから。

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